カンニング!

うふふ。

(大学の)試験には最低2種類ある、のですな。
1つは、点数を取らせるための試験。定期試験なんかはこいつです。
もう1つは、ふるい落とすための試験。大学入試がそうですな。
採点の際、これらに応じて、やり方が変わる訳です。

点数を取らせる場合なら、最悪、「何か書いてある」だけで点数をつけたりしまして、ね。
ま、わたしは、絶対にしませんけど。
卒業を控えた時期には、「なき」が入ります。
答案を見せて、これじゃ、点数、とれないでしょ?、と、説得を続けます。

ふるい落とす試験では、ガシガシ、×をつけますな。
例えば、倍率3倍なら、3人に1人、いい答案を見つければよい訳で…
もっとも、ね~
いい問題だと、とても採点がラクなんですな~
最初の問題でつまづくようにしむけてしまう、とか…

ある古文の問題で、「源氏物語」の登場人物の「墓」を訪れた筆者が、なんとも「おかし」と表現しているのですな。

第1問、「おかし」の意味は?

何を焦ったか、受験生の大部分が、機械的に、「趣がある」と書いてしまうのです。
架空の人物の「墓」ですから、ちゃんちゃら「おかしい」わけですな。
なかなかいい問題です。
採点、とてもラクでした。
つまり、この問題に正解しなければ、次の問題以降、すべて間違うのですからね~

そうそう。
間違った答えを「カンニング」しても、意味は無い。
むしろ、「おおっ、隣も同じ答え、間違いない!」なんて、勘違いして、落ちちゃうかも。

わたし、2回目の大学受験のとき、数学の問題、めちゃくちゃ速く解答してしまったんですな~
制限時間50分のところ、20分で終わってしまって…
もっとも、理系から文転した訳で、できない方が不思議。
解答しおわつて隣を見ると、まだ、第1問でぐずついていました。
残りの30分、じっと、試験監督を「睨んで」居ました。
ふふっ
そしたら、試験監督が、ぐるぐる、わたしの周りを回るのです。
まぁ、試験監督にとっても、不思議だったのかもしれません。
わたしが試験監督でも、ぐるぐる、回るでしょう。

センター試験の試験監督は、とても、大変です。
なにしろ、日本全国で、一斉に、同じ事をしなければならないのですから。
考えてみれば、センター試験の当日、日本の各地で、同じような行動をしている人々がいる、というのは、みょーな事ですな。

受験生には、必要最低限の「指示」をするのです。
タイムテーブルが定められ、そこここで「指示」する「せりふ」も決まっています。

「机の上には、受験票、鉛筆、消しゴム、時計、『以外のもの』は出さないでください」
「はじめっ」
「後、10分です」
「解答用紙に、受験番号が書かれているか、確認してください」

用意された「せりふ」以外の事は、話しちゃダメ、なんですな~

で。
試験監督の仕事は、「カンニング」を予防・防止する事。

うろうろするだけでなく、「せりふ」で周知させなければなりません。

この時期、風邪がはやるんですな~
すると、机の上に「ティッシュ」を出している受験生がいたりします。
その場合には、
「机の上には、受験票、鉛筆、消しゴム、時計、『以外のもの』は出さないでください」
と、しか、言えないのです。

そうそう。
風邪がはやっている場合、ティッシュを出してもいいことにする場合もあります。
その場合には、イチマイイチマイ、試験監督がティッシュを調べて、カンニングの道具ではない事を確かめる必要があります。
うううっ


わたしが試験監督をしたのは、最初に国家公務員になった時が最初。
その後、毎年、10年以上、やってました。
最初は、助手で下っ端、なので、「監督補助者」として。
前の職場では、「試験監督」として…あの「せりふ」をしゃべります。

あるとき、机の上に、ペンケースを出している受験生がいましてね。
こんな時も、
「机の上には、受験票、鉛筆、消しゴム、時計、『以外のもの』は出さないでください」
と、言うのです。

「否定」で指示された場合、なかなか、理解できないのですな~
…「ティッシュ」を出している受験生も、気づきませんね。

で、何度、
「机の上には、受験票、鉛筆、消しゴム、時計、『以外のもの』は出さないでください」
と、言っても、その受験生は、ペンケースをしまいませんでした。

これ、さ。
このままだと、カンニングになってしまって、すべての科目の点数がゼロになってしまうんですよね~
かわいそうになりまして、ね。

で、だ。
3回ほど、
「机の上には、受験票、鉛筆、消しゴム、時計、『以外のもの』は出さないでください」
と、繰り返しました。

でも、ダメなんです。
全く気づきません。
きんちょーしているのでしょう…
うううっ

仕方ないので、「巡回」する振りをして、その受験生の耳元で、
「ペンケースしまいなさい、カンニングになるぜ」
と、言ってしまいましたっ
もちろん、解答開始時刻よりも前に、です。
開始してしまうと、わたし以外の補助者が「カンニング」としてしまうかもしれません。

日本全国で、ただ1人だけ、「違うせりふ」を使ってしまいましたっ
試験監督者として、失格です。
うううっ

今の職場に異動してからは、そこそこ教員の人数が多いので、毎年試験監督をすることはなくなりました。
今年は、どんな具合になるのだろう。
「事故」が起きなきゃいいんだけどね~